◎片口の器を、使ったことがあるでしょうか。名前の通り、片側に注ぎ口がつけられたこの器は、単体の器としても、また取り分けたり、注ぎ分けたりする道具としても便利なもの。小ぶりで使い勝手のよい片口を、素朴な雰囲気が魅力の萩焼で作りました。
◎萩焼は、17世紀初頭、現在の山口県萩市で、朝鮮半島から渡ってきた陶工たちからの技術伝承によって作られるようになった、歴史のあるやきものです。土の風合い、釉薬の窯変など、品ごとに見どころが多々ありますが、「萩」と名付けたこの片口では、国内産の赤土と砂を丹念に練って成形し、石灰釉をかけ、酸化焼成させることで、土の持つ本来の温かさをまとわせました。
◎その温かさと好対照をなすのが、クールでシャープなデザイン。萩焼が伝わった当時のやきもの先進国、李朝(李氏朝鮮)の古物の洗練されたフォルムを参考に生み出したシンプルな碗は、素朴さとスタイリッシュさが同居した、独特の味わいを醸し出しています。故〈ふる〉きを温〈たず〉ね新しきを知る、懐古と進取の気風が結実しているといえるでしょう。
◎お茶の時間には、急須から注いだお茶を分けるための茶海として。日々の食事では、たれや、粘り気のないソースの容れものとして。また、小さな盛り鉢としても使える片口の器。その便利さを、食卓でご堪能ください。
*価格は税別です。
*寸法、容量、重量の数値は、個体差があります。
*容量は、満水時の数値です。