◎すいか、きゅうり、トマトなどの野菜を水に漬けて冷やしたり、素麺をたっぷり入れたり、豆腐を入れて運んだり。かつて木桶は、日本の食卓や台所でとても当たり前のように、便利に使われていました。プラスチックのボウルに取って代わられても、とくに夏になると、水に濡れた涼やかな木肌の感触が恋しくなります。

◎その心地よさを、テーブルの上でも味わえるように、無垢材のワインクーラーを作りました。国産、無塗装の椹〈さわら〉の美しい柾目を、竹の箍〈たが〉できりりと締めた縦長の桶。氷を入れて水を張り、ボトルを挿せば目にも涼やかな景色が生まれます。

◎金属製のワインクーラーは、時間が経つと結露するのが難点でした。しかし、木製のクーラーは、この点でも優秀。テーブルに水を滴らせることなく、しっかりとボトルと内容物の冷たさをキープしてくれます。

◎一点一点が、熟練の桶職人による手作り品。そぎ落としたシンプルなフォルムと、歪みやくるいを許さない堅牢な作りは、まさに日本の手仕事の粋です。「足付〈あしつけ〉」と呼ばれる、地面から少し浮いている部分は、職人の銑〈せん〉の削り痕。大胆で美しい 手技が垣間見えます。

洗って陰干しし、繰り返し使うことで、風合いはさらに味を帯びます。年齢を重ねた大人の方、外国の方への贈り物などにも喜ばれるでしょう。